キネマ☆キンボシ Vol.17

Kinema☆Kinboshi Vol.17 歴史的建造物で観る映画~松江・出雲ビル地下にて 

2025.3.30(SUN) 10:00~ / 14:00~ / 19:00~

『春にして君を想う』

(1991年 アイスランド・ドイツ・ノルウェー合作/82min/カラー/日本語字幕)

楽園へ、二人は旅立った。

アイスランドからの珠玉の贈りもの。

(あらすじ)

アイスランド北部に住む78歳の農夫ソウルゲイルは農業に疲れ、首都レイキャビクに住む娘を訪ねるが、10代の孫娘は彼の世界とは遠く、理解を超えていた。

一緒には住めないことを知り老人ホームに入った彼は、そこで幼なじみの老婦人ステラと再会する。彼女は両親の眠る土地に戻って死にたいという夢を抱き、何度もホームから逃げ出そうとしていた。ソウルゲイルもまた思いは同じだった。

―彼らはある日、ホームを抜け出した。

アイスランドの幻想的な光景の中、故郷を目ざす2人の老人の姿を通じて、人間の孤独と不安、生と死、自然との関わりをつづった一編。

監督・脚本はアイスランドの映画界のリーダー的存在、フリドリック・トール・フリドリクソン。挿入歌はビョーク率いるシュガーキューブスの『コールド・スウェット』。

主演はアイスランド演劇界を代表するギスリ・ハルドルソンとシグリドゥル・ハーガリン。助演は「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツら。

サンレモ映画祭主演男優賞、アンリ・ラングロワ映画祭主演男優賞ほか各賞を受賞。

【staff】

監督・脚本:フリドリック・トール・フリドリクソン

共同脚本:エイナル・マオル・グドゥムンソン

撮影:アリ・クリスティンソン

音楽:ヒルマル・オルン・ヒルマルソン

【cast】

ソウルゲイル…ギスリ・ハルドルソン(『コールド・フィーバー』『精霊の島』)

ステラ…シグリドゥル・ハーガリン

天使…ブルーノ・ガンツ(『ベルリン・天使の詩』『バルトの楽園』)

《上映案内》上映後は感想会も開催しています。もちろん、聞くのみの参加もOKです。

【上映日】 2025年3月30日(日)

      (1回目)10:00~11:40 

      (2回目)14:00~15:40

      (3回目)19:00~20:40

       

【上映場所】出雲ビル地下(島根県松江市白瀉本町33)

       ※建物横の入口からご入場ください。

       ※建物横の駐車場もいくらかございます。

       

【入場料】 大人1500円、高校生以下1000円(席数19席)

        ※有料駐車場をご利用の方は、入場料から200円を

         割引いたします。入場時に駐車券をご提示ください。

         ただし、ゲートレス駐車場には対応いたしかねます。

【ご予約・問い合わせ】kinemakinboshi@gmail.com

090-7778-0269 (安部)

2月の上映会「ディープ・クリムゾン 深紅の愛」の感想より抜粋

2025.2.23 『ディープ・クリムゾン 深紅の愛』@松江・出雲ビル地下
感想より抜粋

60代・男性
メキシコの映画を初めて?観たかも。事実を元に書かれたシナリオなんですね。脚色された部分と本当の部分とどこまでなのか気になりました。他のリメイク作品も観てみたいと思いました。

70代・女性
前略ご免くださいませの手法で始まったこと自体が鮮烈でした。ちょうどNHKラジオ第2でフリーダ・カーロを聴いているところです(但しテキストなしです)。彼女の生涯を中心にすえてますが、乾いた風土の奥にあるものに興味がつのりそうです。妙にひかれたチラシの効果、てきめんでした。ご選定に感謝します。出雲ビル地下が会場というのもいい。感想交換、交流会も面白かったこと。枠外しは私には合っていましたので。

60代・女性
殺人なのにどこか犯人の感情も理解してしまうところもあり、不思議な映画でした。でも…他に生きる道は、あったと思います。

20代・女性
男性のお客さんが話しておられましたが私が彼女の立場でも、きょうだいとして現場に現場に立ち会っていた気がします…。お風呂にアロマを入れたり温度に気をつかう様子も私は分かる気がしました。

50代・男性
今日もおもしろい映画でした。
「おもしろく印象的であるが二度と見ることはないだろう」という私なりのジャンルに属す作品でした。私たちの倫理とはちがう倫理の世界、あるいは国の話なのでとても印象的でした。カタルシスがありました。

30代・女性
映画作品としてはかなり良かったです。
感想としては何を思えばいいのかわからなかった。
人物がどうしようもないのでそんなに辛くはないです。

60代・男性
「いい女はいい男より優れているが、悪い女は悪い男よりもみにくい」という外国のことわざを思い出しました。パンとズームを多用した構図がちょっと満腹気味でした。

主催感想
 お気に入りの作品なので感想&ネタバレがあります。ご注意ください。

 映画館についてお聞きしようと訪れた東京のケイズシネマにて、せっかく来たんだから映画も見ようと、偶然見たのが本作でした。その時の鳥肌が立つ感覚、上映後の虚脱感は今でも忘れられません。
 愛というのは恐ろしいですね。コラルもニコラスに出会わなければ貧しい看護婦として子供を育てただろうし、ニコラスも結婚詐欺を繰り返したとして死刑になることはなかったでしょう。
 しかしそれで幸せだったかというと、そうは思えません。
 コラルが子供を捨てたシーン、とても受け入れがたく自分勝手な行動に憐れみ怒りが湧きますが、彼女はずっと子供を観ながら貧しい生活を送ってきた。そんな時ふと、ニコラスという「自分の夢であり理想」と出会ってしまった。理想に手を伸ばしたい、溺れていたい…そう思う気持ちは分からなくもないです。
 ニコラスも同じで、初めて自分の欠点を受け入れてくれる女性に出会った。いままでずる賢く生きてきた彼が、詐欺を邪魔されようと殺人を犯そうが離れられない。ある意味なんと幸せな事でしょうか。
 被害者たちが資産や夢を持ちながら、酒におぼれていたり、どこか寂しそうなのが印象的です。人間というのはなんて「ままならない」生き物なんでしょうか。
 映像的に印象に残ったのは、カメラの前を何度も出たり入ったりする長回し。そしてそれに答える確かな演技。情緒豊かな音楽が花を添えます。
 また、演出として鏡(あるいは水面)の使い方が印象的でした。
 最初のころは二人とも鏡を見て自分を卑下したり、身なりを整えているのに、出会ってからは見なくなるんですよね。鏡が近くにあるのにも関わらず、お互いがその存在を肯定するように見ない。見てもちょっと確認するだけ。
 最後、子殺しのシーンで風呂の水面に姿が映ったコラルは、その後のシーンで母性本能と愛のはざまで混乱する。宿屋から続くこのシーンで、今の自分の姿をはっきり見てしまったのだと思います。
 最後の二人が射殺されたときに水たまりがありますが、果たしてそこに映ったのは醜い犯罪者か、そこまで深く愛し合った恋人同士か。映画を観た人の感情に委ねられます。
 良心の呵責に耐えられなくなった二人は自分で警察に通報する。警察が来るまでの間、彼らはベンチに座り、疲れた表情ながら手だけは決して離さない。セリフも発さぬ、映像だけで伝えられる感情とその衝撃。そういう作品は今まであまり出会ったことがなく、イ・チャンドン監督作の『ペパーミント・キャンディー』で田舎道を日を浴びて歩くヒロインと、軍事トラックの荷台で日を浴びずに銃を抱えている主人公の「おそらく今後も彼らはすれ違い続けるだろう」と、作品の構成もあり「わかってしまう」感覚、同監督の『オアシス』の高速道路で踊る二人を描いたシーンなど、ごく僅かです。
 これだけ多くの人を殺害したんだから人間社会で許されるわけがない、最後ケモノのように射殺されるのも当然じゃないか、分かったことじゃないかと理解しつつも、観たものに流れる感情、愛という恐ろしくも尊い偉大なものの存在に心が震えるのです。
 愛を語ると人は詩人になると言いますが、何も恥ずかしいことはありません。
 大いに詩人になりましょう。