キネマ☆キンボシ No.18

Kinema☆Kinboshi No.18 ジャン・コクトー特集①『詩人の血』in 出雲ビル地下カフェ

2025.5.11(SUN) 10:00~ / 14:00~ / 19:00~ / 21:00~(上映のみ)

今回は島根・松江の小さな詩のある本屋「青と緑」さんによるジャン・コクトー関連の詩の朗読会と書籍販売があります。また、イベント開催中は会場である歴史的建造物・出雲ビルの地下空間を自由なスペースとして開放。お話するも良し、読書するもよし。ゴールデンウィーク明けの日曜日に、飲み物を飲みながらゆっくり過ごしていただけます。

【上映作品】

『詩人の血』

(1930年 / フランス /50min・白黒/日本語字幕)

(解説)

ジャン・コクトーの映画処⼥作。

4つのエピソードにはギリシャ神話の要素や鏡、雪合戦といった、後の代表作『オルフェ』や『恐るべき子供たち』に共通する描写が見られる。多用される特殊効果は美術と相まって先進的であり、サルバトール・ダリとルイス・ブニュエルが協力した『アンダルシアの犬』(1928)と並ぶアヴァンギャルド・ムービー。

監督は詩人であり小説家、劇作家、画家…と多方面で表現活動を行い、「芸術のデパート」と言われたジャン・コクトー。チャップリンやルネ・クレールの作品を撮影したJ・ペリナール、『ローマの休日』の音楽を担当するJ・オーリック、当時から世界的なファッションデザイナーだったココ・シャネルら、そうそうたる面々が参加している。

配給:アダンソニア

【青と緑さんからのメッセージ】

詩歌や、詩を含有する言葉、写真、絵本などを取り扱っています。役に立たないこと成長しないこと無駄であること動かないこと空っぽであること、意味のないこと。だめなことをそのままにして、本を読むのはきもちいいですね。さあ、あなたもだめなことをほっぽいて本を読みましょう。詩を書きましょう。それはまったく、人間らしいおこないです。そして、立ち上がれたら立って歩き、むりなら転がって本を読み続ければいいのです。

 

《上映案内》感想会と朗読会は聞くのみの参加もOKです。

【上映日】
2025年5月11日(日)
(1回目)10:00~
(2回目)14:00~
(3回目)18:00~
(4回目)21:00~※上映のみ
※開始から1時間は上映(入場料必要)。休憩後に感想会~詩の朗読(聞くのみの参加も可、途中入場可)また、21時からの回は上映のみとなります。               

【会場】
出雲ビル地下(島根県松江市白瀉本町33)
※建物横の入口からご入場ください。
※建物横の駐車場もいくらかございます。

【入場料】
上映に限り1000円。感想会からは無料。

【注意事項】
・飲み物の持ち込みは自由です。当日は飲み物を準備します。
・会場は地下入口から地下までの階段部分、及び地下空間に限ります。
 他の階にご迷惑にならないよう、よろしくお願いします。

【ご予約・問い合わせ】
kinemakinboshi@gmail.com
090-7778-0269(安部)

 

3月の上映会『春にして君を想う』2025.3.30@松江・出雲ビル地下 感想より抜粋

40代・女性

最初は「死んだ」ような男性が、おさななじみの女性との再会を経て、「ふるさとで死にたい」というおさななじみの望みをかなえるため、トラック(ジープ)を盗んだり、全財産おろしたりと最初の姿からは考えられないくらいイキイキとしてて、とてもよかったです。「人は役割(使命)を実践していると、とてつもない力や未来を引き起こす」ことがあると聞きます。二人、手をつないでふるさとへの道を歩いていくシーンがとても印象的でした。ふるさとで今までにないおだやかな表情をうかべた女性の表情にグッときました。

40代・女性

老いと死について考えさせられました。映画内での讃美歌が美しく、それに救われたように思います。いろいろなメタファーがあったように感じられました。

匿名

アイスランド映画は接することが非常に少なく、今まで数度程度観たのみでしたので、今回機会がありよかったです。どの様にも解釈できる内容ではありますが、それでけ広く、深いものなのでしょう。簡単にわかる内容もよいですが、今回のように考えるものも楽しいですね。

60代・男性

なんとも言えない映画でしたけれど、人生で出会わなければいけない映画と思いました。老人が主人公の映画はなかなか夢を描けないものと思っていましたが、とても素晴らしいものでした。まだまだチャレンジしていきたいと思える作品でした。この作品を紹介していただいて、ありがとうございました。

50代・男性

観ている最中は「なんてつまらない映画なんだ」と思い続けていましたが、だんだん不思議な現象が起きてきて、少しずつ画面に引き付けられていきました。キリスト教のエピソードが引用されていると思うのですが、そのあたりが不勉強でよく分からず、キリスト教文化に詳しければもっと面白かっただろうと思いました。

50代・男性

老いて子どもや老人ホームを頼らなくてはならないとき、どのように生きるか難しいことだと思わされました。本作はファンタジーとして老人二人の時間を描いていて、こんな時間を過ごせたらいいなと思いました。

40代・女性

2人で故郷へ向かって旅をしているところは、すでに死んでいて魂だけが さまよっているのかなと思って観てました。 最後の方で埋葬してたので死んではいなかったんだなと思いました。 字幕が少ない映画のように思いましたので、映像から受けた印象を素直に感じれると思いました。

主催感想

 アイスランドはですね、2019年に東京に行ったとき、たまたま通りかかったフジフイルム・フォトサロン東京で南佐和子さんという写真家が個展をやってまして、その時のすごく幻想的な風景が強く印象に残って、初めてアイスランドという国を意識したわけです。
 そこへ来て本作『春にして君を想う』、原題だと『Börn náttúrunnar』つまり「自然の子どもたち」というタイトルですが、まず美しい風景と、捻りのないストレートなストーリーが素敵だなと思いました。二人の老人を追う警察もどこかノンビリしてて、全体に流れるスローな空気感が伝わります。
 とはいえ美しいばかりでなく、現代的な親子関係の断裂や孤独など(さすがに老人ホームのシーンは誇張だと思いたいが)、他の国と同じような問題を抱えてるんですね。そこへ来て主人公たちが「死ぬなら故郷で」と脱走をする。過去に捨てた故郷は何もなく、目立った建物は廃れた教会と廃工場があるだけ。失ったものは戻らないものの、そこにたどり着いた二人の安堵の表情を見て、やはり心は故郷にあるのだと思いました。自然に生き、自然に倒れる。便利さを享受しながら現代システムの中で生きる僕たちにとって、それがどれだけ素晴らしいことかと。
 ラスト、壊れたゲートを飛び出したソウルゲイルの亡骸は海に落ち、魂は天に昇ったのだと思いました。魂は肉体を離れて、自然に還り溶け込んでいきました。