3月の上映会『春にして君を想う』2025.3.30@松江・出雲ビル地下 感想より抜粋

40代・女性

最初は「死んだ」ような男性が、おさななじみの女性との再会を経て、「ふるさとで死にたい」というおさななじみの望みをかなえるため、トラック(ジープ)を盗んだり、全財産おろしたりと最初の姿からは考えられないくらいイキイキとしてて、とてもよかったです。「人は役割(使命)を実践していると、とてつもない力や未来を引き起こす」ことがあると聞きます。二人、手をつないでふるさとへの道を歩いていくシーンがとても印象的でした。ふるさとで今までにないおだやかな表情をうかべた女性の表情にグッときました。

40代・女性

老いと死について考えさせられました。映画内での讃美歌が美しく、それに救われたように思います。いろいろなメタファーがあったように感じられました。

匿名

アイスランド映画は接することが非常に少なく、今まで数度程度観たのみでしたので、今回機会がありよかったです。どの様にも解釈できる内容ではありますが、それでけ広く、深いものなのでしょう。簡単にわかる内容もよいですが、今回のように考えるものも楽しいですね。

60代・男性

なんとも言えない映画でしたけれど、人生で出会わなければいけない映画と思いました。老人が主人公の映画はなかなか夢を描けないものと思っていましたが、とても素晴らしいものでした。まだまだチャレンジしていきたいと思える作品でした。この作品を紹介していただいて、ありがとうございました。

50代・男性

観ている最中は「なんてつまらない映画なんだ」と思い続けていましたが、だんだん不思議な現象が起きてきて、少しずつ画面に引き付けられていきました。キリスト教のエピソードが引用されていると思うのですが、そのあたりが不勉強でよく分からず、キリスト教文化に詳しければもっと面白かっただろうと思いました。

50代・男性

老いて子どもや老人ホームを頼らなくてはならないとき、どのように生きるか難しいことだと思わされました。本作はファンタジーとして老人二人の時間を描いていて、こんな時間を過ごせたらいいなと思いました。

40代・女性

2人で故郷へ向かって旅をしているところは、すでに死んでいて魂だけが さまよっているのかなと思って観てました。 最後の方で埋葬してたので死んではいなかったんだなと思いました。 字幕が少ない映画のように思いましたので、映像から受けた印象を素直に感じれると思いました。

主催感想

 アイスランドはですね、2019年に東京に行ったとき、たまたま通りかかったフジフイルム・フォトサロン東京で南佐和子さんという写真家が個展をやってまして、その時のすごく幻想的な風景が強く印象に残って、初めてアイスランドという国を意識したわけです。
 そこへ来て本作『春にして君を想う』、原題だと『Börn náttúrunnar』つまり「自然の子どもたち」というタイトルですが、まず美しい風景と、捻りのないストレートなストーリーが素敵だなと思いました。二人の老人を追う警察もどこかノンビリしてて、全体に流れるスローな空気感が伝わります。
 とはいえ美しいばかりでなく、現代的な親子関係の断裂や孤独など(さすがに老人ホームのシーンは誇張だと思いたいが)、他の国と同じような問題を抱えてるんですね。そこへ来て主人公たちが「死ぬなら故郷で」と脱走をする。過去に捨てた故郷は何もなく、目立った建物は廃れた教会と廃工場があるだけ。失ったものは戻らないものの、そこにたどり着いた二人の安堵の表情を見て、やはり心は故郷にあるのだと思いました。自然に生き、自然に倒れる。便利さを享受しながら現代システムの中で生きる僕たちにとって、それがどれだけ素晴らしいことかと。
 ラスト、壊れたゲートを飛び出したソウルゲイルの亡骸は海に落ち、魂は天に昇ったのだと思いました。魂は肉体を離れて、自然に還り溶け込んでいきました。

キネマ☆キンボシ Vol.17

Kinema☆Kinboshi Vol.17 歴史的建造物で観る映画~松江・出雲ビル地下にて 

2025.3.30(SUN) 10:00~ / 14:00~ / 19:00~

『春にして君を想う』

(1991年 アイスランド・ドイツ・ノルウェー合作/82min/カラー/日本語字幕)

楽園へ、二人は旅立った。

アイスランドからの珠玉の贈りもの。

(あらすじ)

アイスランド北部に住む78歳の農夫ソウルゲイルは農業に疲れ、首都レイキャビクに住む娘を訪ねるが、10代の孫娘は彼の世界とは遠く、理解を超えていた。

一緒には住めないことを知り老人ホームに入った彼は、そこで幼なじみの老婦人ステラと再会する。彼女は両親の眠る土地に戻って死にたいという夢を抱き、何度もホームから逃げ出そうとしていた。ソウルゲイルもまた思いは同じだった。

―彼らはある日、ホームを抜け出した。

アイスランドの幻想的な光景の中、故郷を目ざす2人の老人の姿を通じて、人間の孤独と不安、生と死、自然との関わりをつづった一編。

監督・脚本はアイスランドの映画界のリーダー的存在、フリドリック・トール・フリドリクソン。挿入歌はビョーク率いるシュガーキューブスの『コールド・スウェット』。

主演はアイスランド演劇界を代表するギスリ・ハルドルソンとシグリドゥル・ハーガリン。助演は「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツら。

サンレモ映画祭主演男優賞、アンリ・ラングロワ映画祭主演男優賞ほか各賞を受賞。

【staff】

監督・脚本:フリドリック・トール・フリドリクソン

共同脚本:エイナル・マオル・グドゥムンソン

撮影:アリ・クリスティンソン

音楽:ヒルマル・オルン・ヒルマルソン

【cast】

ソウルゲイル…ギスリ・ハルドルソン(『コールド・フィーバー』『精霊の島』)

ステラ…シグリドゥル・ハーガリン

天使…ブルーノ・ガンツ(『ベルリン・天使の詩』『バルトの楽園』)

《上映案内》上映後は感想会も開催しています。もちろん、聞くのみの参加もOKです。

【上映日】 2025年3月30日(日)

      (1回目)10:00~11:40 

      (2回目)14:00~15:40

      (3回目)19:00~20:40

       

【上映場所】出雲ビル地下(島根県松江市白瀉本町33)

       ※建物横の入口からご入場ください。

       ※建物横の駐車場もいくらかございます。

       

【入場料】 大人1500円、高校生以下1000円(席数19席)

        ※有料駐車場をご利用の方は、入場料から200円を

         割引いたします。入場時に駐車券をご提示ください。

         ただし、ゲートレス駐車場には対応いたしかねます。

【ご予約・問い合わせ】kinemakinboshi@gmail.com

090-7778-0269 (安部)