2月の上映会「ディープ・クリムゾン 深紅の愛」の感想より抜粋

2025.2.23 『ディープ・クリムゾン 深紅の愛』@松江・出雲ビル地下
感想より抜粋

60代・男性
メキシコの映画を初めて?観たかも。事実を元に書かれたシナリオなんですね。脚色された部分と本当の部分とどこまでなのか気になりました。他のリメイク作品も観てみたいと思いました。

70代・女性
前略ご免くださいませの手法で始まったこと自体が鮮烈でした。ちょうどNHKラジオ第2でフリーダ・カーロを聴いているところです(但しテキストなしです)。彼女の生涯を中心にすえてますが、乾いた風土の奥にあるものに興味がつのりそうです。妙にひかれたチラシの効果、てきめんでした。ご選定に感謝します。出雲ビル地下が会場というのもいい。感想交換、交流会も面白かったこと。枠外しは私には合っていましたので。

60代・女性
殺人なのにどこか犯人の感情も理解してしまうところもあり、不思議な映画でした。でも…他に生きる道は、あったと思います。

20代・女性
男性のお客さんが話しておられましたが私が彼女の立場でも、きょうだいとして現場に現場に立ち会っていた気がします…。お風呂にアロマを入れたり温度に気をつかう様子も私は分かる気がしました。

50代・男性
今日もおもしろい映画でした。
「おもしろく印象的であるが二度と見ることはないだろう」という私なりのジャンルに属す作品でした。私たちの倫理とはちがう倫理の世界、あるいは国の話なのでとても印象的でした。カタルシスがありました。

30代・女性
映画作品としてはかなり良かったです。
感想としては何を思えばいいのかわからなかった。
人物がどうしようもないのでそんなに辛くはないです。

60代・男性
「いい女はいい男より優れているが、悪い女は悪い男よりもみにくい」という外国のことわざを思い出しました。パンとズームを多用した構図がちょっと満腹気味でした。

主催感想
 お気に入りの作品なので感想&ネタバレがあります。ご注意ください。

 映画館についてお聞きしようと訪れた東京のケイズシネマにて、せっかく来たんだから映画も見ようと、偶然見たのが本作でした。その時の鳥肌が立つ感覚、上映後の虚脱感は今でも忘れられません。
 愛というのは恐ろしいですね。コラルもニコラスに出会わなければ貧しい看護婦として子供を育てただろうし、ニコラスも結婚詐欺を繰り返したとして死刑になることはなかったでしょう。
 しかしそれで幸せだったかというと、そうは思えません。
 コラルが子供を捨てたシーン、とても受け入れがたく自分勝手な行動に憐れみ怒りが湧きますが、彼女はずっと子供を観ながら貧しい生活を送ってきた。そんな時ふと、ニコラスという「自分の夢であり理想」と出会ってしまった。理想に手を伸ばしたい、溺れていたい…そう思う気持ちは分からなくもないです。
 ニコラスも同じで、初めて自分の欠点を受け入れてくれる女性に出会った。いままでずる賢く生きてきた彼が、詐欺を邪魔されようと殺人を犯そうが離れられない。ある意味なんと幸せな事でしょうか。
 被害者たちが資産や夢を持ちながら、酒におぼれていたり、どこか寂しそうなのが印象的です。人間というのはなんて「ままならない」生き物なんでしょうか。
 映像的に印象に残ったのは、カメラの前を何度も出たり入ったりする長回し。そしてそれに答える確かな演技。情緒豊かな音楽が花を添えます。
 また、演出として鏡(あるいは水面)の使い方が印象的でした。
 最初のころは二人とも鏡を見て自分を卑下したり、身なりを整えているのに、出会ってからは見なくなるんですよね。鏡が近くにあるのにも関わらず、お互いがその存在を肯定するように見ない。見てもちょっと確認するだけ。
 最後、子殺しのシーンで風呂の水面に姿が映ったコラルは、その後のシーンで母性本能と愛のはざまで混乱する。宿屋から続くこのシーンで、今の自分の姿をはっきり見てしまったのだと思います。
 最後の二人が射殺されたときに水たまりがありますが、果たしてそこに映ったのは醜い犯罪者か、そこまで深く愛し合った恋人同士か。映画を観た人の感情に委ねられます。
 良心の呵責に耐えられなくなった二人は自分で警察に通報する。警察が来るまでの間、彼らはベンチに座り、疲れた表情ながら手だけは決して離さない。セリフも発さぬ、映像だけで伝えられる感情とその衝撃。そういう作品は今まであまり出会ったことがなく、イ・チャンドン監督作の『ペパーミント・キャンディー』で田舎道を日を浴びて歩くヒロインと、軍事トラックの荷台で日を浴びずに銃を抱えている主人公の「おそらく今後も彼らはすれ違い続けるだろう」と、作品の構成もあり「わかってしまう」感覚、同監督の『オアシス』の高速道路で踊る二人を描いたシーンなど、ごく僅かです。
 これだけ多くの人を殺害したんだから人間社会で許されるわけがない、最後ケモノのように射殺されるのも当然じゃないか、分かったことじゃないかと理解しつつも、観たものに流れる感情、愛という恐ろしくも尊い偉大なものの存在に心が震えるのです。
 愛を語ると人は詩人になると言いますが、何も恥ずかしいことはありません。
 大いに詩人になりましょう。

2月の上映会、無事に終了しました

kinema⭐︎kinboshi No.16 『ディープ・クリムゾン 深紅の愛』上映会、終了致しました。

10時の回に来られたお客様には、雪で準備が滞ってしまい、バタバタした始まりで申し訳ありませんでした。

次回は3月30日(日)、珍しいアイスランド産の映画『春にして君を想う』を上映致します。

キネマ☆キンボシの定期上映会ってどんなの?

月末の日曜日に、ちょっと懐かしい映画や珍しい映画を、ジャンル問わず上映しています。

メイン会場は松江市に建つ、築100年の歴史ある建造物・出雲ビルの地下一階。

出雲ビルは今でもアパレルやオフィス、ミュージック・バーが営業している現役の商用ビルです。

地下一階は過去にライブハウスやカフェが営業していたこともあり、現在はイベントがある時のみ開放され、出雲ビルの歴史を伝える説明文が掲示されています。

出雲ビル近辺には無料で停められる駐車場が数台分あり(許可が必要なため、利用申請は予約時にお願いします)、それ以外は近くのコインパーキングに停めていただくことになります。なお、受付にて駐車券をご提示いただければ、入場料を200円割引致します。

スクリーンは150インチ(3.3m×1.8m)。持ち運び式では最大級の大きさです。

プロジェクターは4Kにも対応しているエプソン製。

音響はヤマハ・ステージパスを使用しています。

会場には荷物カゴやクッション、ブランケットを完備。空調もしっかりあるので快適に鑑賞をお楽しみいただけます。

また、ホラー・ナイトなどの企画時には、会場の雰囲気も一変します。

いろいろな企画を計画中です。

上映後は休憩をはさんで感想会。

キネキン上映会にとって重要な時間です。

簡単な作品解説を行ったあと、スタッフ・お客さん間で感想を共有します。

例えばちょっと難しい映画と出会ったとき、「見方が分からない、何が楽しいのか分からない」と思うことがあります。この感想会を通して作品への理解を深めたり、新たな解釈を模索したりします。

また、ここで言う「理解」とは「自分の見方が正しいか、間違いか」ではなく、自分なりの解釈を探すことであり、「どこが楽しくて、どこが納得いかないのか」を整理することです。

見て、感じて、考えることこそ楽しさの入り口であると、私は思っています。

当然、発表するのは恥ずかしいという方もいらっしゃると思いますので、こちらから当てたりはしません。聴くだけの参加もOKですし、時間がない時などは上映後に退出していただいても大丈夫です。

キネマ☆キンボシ Vol.16

Kinema☆Kinboshi Vol.16 歴史的建造物で観る映画~松江・出雲ビル地下にて~ 

日時 2025.2.23(SUN) 10:00~ / 14:00~ / 19:00~

会場 島根県松江市白潟本町 出雲ビル地下1F

入場料 大人1,500円、高校生以下1,000円(席数19席)

『ディープ・クリムゾン 深紅の愛』

(1996年 フランス・メキシコ・スペイン合作/114min/カラー/日本語字幕)

メキシコの巨匠 アルトゥーロ・リプステインが描く、乾いた大地を駆け抜けた“恋人たちの物語(ハネムーン・キラーズ)”
第53回ヴェネチア国際映画祭 最優秀脚本賞・最優秀音楽賞・最優秀美術賞 受賞作。
2024年 東京国際映画祭”ワールド・フォーカス”でリバイバル上映された知られざる傑作。

(あらすじ)
太った看護婦コラル(レヒナ・オロスコ)は、二人の幼い子供と貧乏暮らし。フランスの俳優、シャルル・ボワイエの大ファンである彼女は、文通相手募集の記事で自称ボワイエ似のスペイン人、ニコラス(ダニエル・ヒメネス・カチョ)と知り合う。実は彼は結婚詐欺師で、元妻も殺害した男だったが、恋に落ちてしまったコラルは…
メキシコ映画の巨匠アルトゥーロ・リプステインの代表作であり、殺人を犯した結婚詐欺師とその男に恋をした中年看護士がたどる運命を、メキシコの乾いた大地を背景にユーモアとバイオレンスを織り交ぜて描くロードムービー。アメリカで実際に起きた”ハネムーン・キラーズ”事件の再映画化。

【staff】

監督:アルトゥーロ・リプステイン
   1943年12月13日、メキシコ・メキシコシティ生まれ。
   “インディペンデント映画のゴッドファーザー”として
   知られる。
   ダークでスローペースな作風で孤独を探求する。

脚本:パス・アリシア・ガルシアディエゴ

撮影:ギレルモ・グラニージョ

美術:マカレナ・フォラチ他

音楽:デビッド・マンスフィールド

【cast】

レヒナ・オロスコ

ダニエル・ヒメネス・カチョ

シャーリン

ジョバーニ・フロリド

フェルナンド・S・パラビシーニ


《上映案内》上映後は感想会も開催しています。もちろん、聞くのみの参加もOKです。

【上映日】 2025年2月23日(日)
(1回目)10:00~12:20
(2回目)14:00~16:20
(3回目)19:00~21:20

【上映場所】出雲ビル地下(島根県松江市白瀉本町33)
※建物横の入口からご入場ください。
※建物横の駐車場もいくらかございます。
【入場料】 大人1,500円、高校生以下1,000円(席数19席)
※有料駐車場をご利用の方は、入場料から200円を割引いたします。
入場時に駐車券をご提示ください。
ただし、ゲートレス駐車場には対応いたしかねます。

【ご予約・問い合わせ】kinemakinboshi@gmail.com (おぐに)